デザインマガジン🎈Balloon vol.23「美味しい料理を作る覚悟が必要」と「香りの視覚化」

デザインマガジンでは、上の句として「デザイン“以外”の話」、下の句として「デザインの話」をお届けします。では早速、「デザイン“以外”の話」から。

実家で料理をすることはあったけど、ちゃんと自炊を始めたのは大学で下宿生活を始めてから。一人暮らしでは、予算や冷蔵庫の食材、スケジュールを考え、自分の食の好みを反映させるというのはちょっとしたミッションのように感じる。

長らく自炊を続けて、ここ数年でやっと気づいたのは「美味しいものを作るぞ」という覚悟と意気込みが大切だということ。さらに、その前段階として「美味しいものを作って食べてもいいんだ」という気付きと自分への許しも必要。家事は当たり前のTODOで、外食は美味しいものや他人とのコミュニケーションを楽しむためという認識だったのを、コロナで自宅時間が増えた頃に改めた。コロナで得たものも失ったものも多いけど、この気付きは今も役立っている。美味しい料理を作るぞという覚悟と意気込みが大事。（ちなみに、コロナで失ったものは海外旅行のチャンス。ちょうど10年パスポートを更新したのに、未だにまっさらである）

料理についての上の句を読んでいたら、以前購入した『香りで料理を科学する フードペアリング大全』を思い出しました。もともとは複雑なフードペアリング=食材同士の組み合わせが綺麗なインフォグラフィックスで表現されていて、それを見たくて購入したものです。

今回はそこで示されたインフォグラフィックスのデザインと「香り」についてご紹介します。

下図は「キウイ」と「牡蠣」それぞれの食材が持つ独特なアロマ・プロファイル（香りの特徴）を視覚的に表現したものです。

サイズの異なる2つのリングと、放射線状に分割された色分けされたエリアとで構成されています。内側にあるリングは14種類のアロマ・タイプが示されており、その食材がどのタイプの香りを強く持つかが表現されています。外側に向かって長く伸びているものは、そのタイプの香りが強いことを示しています。

このインフォグラフィックスを見るだけでその食材の持つ香りが理解できる、ということですね。

ここで非常に興味深いのは、色の三原色と同じように「香り」にも主要なにおいの成分というものがあるということですね（上図内側の14分割されたリング）。

「10,000種類のアロマ分子間のつながりをモデル化し、分子クラスター間の顕著な類似性を整理、様々な食材の幅広い香りを表現するために14種類のアロマ・タイプを特定した。」とのことで、本書でも豊富な事例として示されるように様々な食材の幅広い香りが表現されています。

料理や空間、ヒトや香水など、身の回りには様々な香りがあふれています。しかし、よほど意識的で無い限りそれらがどういった香りの組み合わせで成り立っているのかを把握することは困難だと思います。

本書のように、視覚的に分かりやすいインフォグラフィックスという形式で表現する価値は、そこにあると思います。大きな判型で見応えも充分です、ぜひ皆さんも手に取ってみてください。

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました！デザインマガジン🎈Balloonは毎月２回配信予定です。本メールマガジンの感想や質問などをSNSに投稿していただけると嬉しいです。次回配信もお楽しみに！