デザインマガジン🎈Balloon vol.24「なぜパズルゲームに過集中してしまうのかを考えてみる」と「Naefの玩具デザイン」
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デザインマガジンでは、上の句として「デザイン“以外”の話」、下の句として「デザインの話」をお届けします。では早速、「デザイン“以外”の話」から。
上の句:なぜパズルゲームに過集中してしまうのかを考えてみる
私はRPGよりもパズルゲームが好きだ。特に3マッチと呼ばれる、同じ色のピースを3つ集めて消すタイプが好みで、「2048」や「スバラシティ」といった派生作品もよくプレイする。これらのパズルゲームは、スーパーマリオのようにステージをクリアしていくのではなく、ゲーム開始からゲームオーバーまでが1ゲームとなり、その1ゲームのスコアで高得点を目指す形式である。最初は簡単なピースが降ってきて、徐々に難易度が上がり、捌ききれないほど複雑なピースが降ってくる。ピースが盤面いっぱいになるとゲームオーバーなので、後半になるにつれて集中力が高まっていく。
さて、なぜか私はこういったパズルゲームを忙しいときほどプレイしてしまう。単なる現実逃避とも言えるが、プレイスタイルや楽しみ方に何か理由があるような気がしてならない。
後半になって難易度が上がり、盤面がピースで埋め尽くされそうになったその時<カッ★>とひらめいてパズルを組み替えて難を逃れる。このギリギリの状況をなんとか切り抜ける瞬間を味わいたくてプレイをしているフシがある。
これはもしかして、「仕事が忙しい時期にTODOが多くて押しつぶされそうになったけど、何とか乗り越えた」という経験をパズルゲームで疑似体験したいということなのだろうか。
いやいや、仕事で実体験する方がよほど良いはずだ(あるいは、そもそもそんな状況に陥らないようにするとか)。そもそもそうやってパズルで疑似体験をするからこそ、TODOに押しつぶされそうになるのではないのか?そうは思いつつも、忙しい時についパズルゲームをプレイしてしまう。けど忙しい時にパズルゲームをやっちゃうんだよなあ、人間だもの。
下の句:Naefの玩具デザイン
パズルの歴史は意外に古いようで、その起源は古代文明の時代にまで遡ります。記録に残るなかで最も古いパズルはなぞなぞとのこと。ギリシャ神話に出てくるスフィンクスの「朝は四本足、昼は二本足、夕は三本足。この生き物は何か?」というなぞなぞはよく知られていますね。
今回はパズルから(無理矢理)関連付けて、玩具のデザインについてお話したいと思います。
デザインに優れた玩具として真っ先に挙げたいのが「Naef(ネフ社)」の積み木おもちゃです。
Naefは、1954年にKurt Naef(クルト・ネフ)氏によって創業されたスイス、バーゼルの玩具メーカーです。創業当時はインテリアや家具を製造していたようですが、その後1958年にリボンの形の新しい積み木「Naef Spiele(ネフスピール)」の誕生により、本格的な玩具作りを開始しました。
そのNaefの誕生のきっかけになった玩具がこちらの「Naef Spiele」です。
©︎ Naef Spiele AG
この玩具は8つの角度のついた「歯」を持つ16個の積み木を組み合わせて、橋や塔など構造物を作ることができます。リボンのような独特の形状によって、上に行くに従って広くするような積み方も可能です。
また、玩具メーカーとして他とは一線を画す特徴は、バウハウスの玩具を復刻してつくり続けている点でしょう。
1923年にデザインされたこの積み木は、当時学生だったアルマ・シードホフ=ブッシャー(1899-1944)によるもの。1977年にNaefが復刻版を忠実に再現しています。
©︎ Naef Spiele AG
赤・青・黄・緑・白と鮮やかなカラーで塗り分けられたプリミティブなパーツで構成されており、モダンデザインを体現したような玩具です。最もボリュームの大きな円弧型のパーツのみ、上面とサイド、底面が塗り分けられており、見る角度によって大きく印象が異なるのも興味深い点ですね。
赤や黄色の暖色系の色味に比べて、青や緑の寒色系の色味は、若干彩度と明度が落としてあり、全体として派手すぎない調和が取られています。
こちらのチェスの駒のデザインは、ヨーゼフ・ハートヴィヒによるもの。王冠やティアラなど具象的なシンボルを再現したデザインが一般的な中、それらとは対照的に各駒の動きや機能のみに基づいた非常にシンプルな形状になっています。
最も弱いとされるポーンの駒は、他のものよりも一回り小さい立方体で表現されている点も潔くていいですね。
デザインがシンプルで綺麗な点もありますが、こうして見ると玩具としては相当に精度の高いものづくりをしている点も惹かれる理由だと思います。
商品写真を見るとわかりますが、垂直水平が綺麗に揃っており、パッケージングされた状態だとパーツ間の隙間はほとんど見えないレベルの品質です。子ども向け商品だからと作業効率重視で製造してもよさそうですが、決して手を抜かない高品質なものづくりが長年愛される理由だと改めて感じました。
シンプルで単純な形状のデザインは一見簡単そうに見えますが、そうしたデザインにこそ、精度や外観品位のコントロールが如実に表れますよね。皆さんもどこかで見かけたら、是非手に取って確かめてみてください。
おわりに
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