デザインマガジン🎈Balloon vol.17「運動と睡眠を追跡する話」と「cmfのスマートウォッチ」

デザインマガジンでは、上の句として「デザイン“以外”の話」、下の句として「デザインの話」をお届けします。では早速、「デザイン“以外”の話」から。

スマートウォッチで「運動」と「睡眠」を計測している。運動は毎回同じ時間・強度なのでほぼ同じ計測データになる。そのため運動の計測結果は全然見ない。むしろ、運動した日に卓上カレンダーに「運動をした日だけ貼れるシール」を貼ることを楽しみにしている。こうやってせっせとカレンダーにシールを貼るのは幼稚園以来である。

一方、睡眠は毎朝寝ぼけ眼で計測データを確認している。深い睡眠の割合が20~25%を行き来するのでこの誤差に一喜一憂する。ヤクルト1000を飲んでみたり、ラバーバンドをもう少しキツめに着用したほうが良いのかと試行錯誤もする。

運動の計測結果は毎回「ほぼ同じ」なので気にせず、睡眠の計測結果は1％単位で気にする。結局のところ、計測するためのテクノロジーが進化したとて、人間のお気持ちとの兼ね合いというものが大事なんだろうなと思いながら、今日も運動と睡眠のデータを計測する。

追伸：JDIの新事業Virgo（スマートリング）が気になるんですが、やはり指輪としてはゴツインだよなと思っています。（そしてそもそも一般向け販売ではない）

睡眠計測用に長らく色々なスマートウォッチを試しているのですが、2023年末に購入した「CMF WATCH PRO」が思いのほかよく出来ていて愛用しています。

cmfとは、ロンドンに拠点を置くデジタル機器メーカーNothing Technologyのサブブランドです。Appleとは異なるテイストのデザインで知られるNothingですが、廉価で独特なデザインのスマートウォッチは発表時から注目されていました。

ハードのデザインは非常にミニマムで、角に丸みを持たせた板状の筐体に竜頭がひとつ追加されたシンプルなものです。この本体自体は、（バンドを外した内側に跡が見えることから）アルミを削り出してつくっているようです。

一方でバンドやUIはキーカラーである彩度の高いオレンジを用い、オリジナルのアイデンティティを表現しています。また、「cmf」ブランドのロゴタイプと同様に、ドットで描かれた書体が時折使用されており、それだけでも他のスマートウォッチとは一線を画している印象を与えます。

一方でUIとして読ませなければいけない箇所はシンプルなサンセリフ体で表示されています。決して液晶の解像度が低いわけでは無いのですが、粗めのドットによる書体と、普通の書体の両方の表現があることで、手触り感や奥行きが与えられたように感じます。

以下はデフォルトの文字盤のデザインですが、時計としての機能性にはそれほどこだわらず、モチーフである円形を大胆に組み合わせたようなデザインが特徴的です。

造形やアプローチがバラバラですが、カラーが黒・グレー・白・オレンジと4色のみ絞られているため世界観が統一された印象で興味深いです。

アクティビティ計測も充実しており、ランニングやサイクルなど多様な種目が選択できます。ピクトグラムのデザインは他と比較すると相当オーソドックスですね。

心拍やストレス、歩数計など一通りの機能もありグラフの描画やデザインも良い感じですね。UIのすべての画面において、使用カラーを4色に絞っているためか、どの部分を強調する（べき）か、は好みが分かれそうです。幸い価格とともに機能も抑えられているので、操作に迷うことはありませんが。

あえて悪いところを挙げるなら、ストップウォッチ（などの機能）がバックグラウンドで処理できないため、一度カウントダウンを始めてしまうと他の情報が確認できないことでしょうか。このあたりはアップデートで改善して欲しいところです。

パッケージデザインはこのように極限まで薄くした紙製のもの。エコですね。

バッテリーは2週間ほど持ちますし、バンドは22mmと規格サイズなので使いやすいものに変更も可能です。

本体の厚みが若干気になりますが、実売で11,000円の価格でありながらデザインと基本機能のバランスは素晴らしいと思います。

読者の皆さんにとって、是非一度試してみる価値があるアイテムとなることを願っています！

おわりに

最後までお読みいただきありがとうございました！デザインマガジン🎈Balloonは毎月２回配信予定です。本メールマガジンの感想や質問などをSNSに投稿していただけると嬉しいです。次回配信もお楽しみに！