デザインマガジン🎈Balloon vol.32 「ニンテンドーミュージアム」と「世界観を立ち上げるデザイン」の話
ブランディング・UX・グラフィック・プロダクト・UI・Webサイトなどクリエイティブ全般をカバーするデザインコンサルティングスタジオ Balloon株式会社がお届けするデザインマガジンです。
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今回のデザインマガジンは特別編。先日オープンしたばかりの「ニンテンドーミュージアム」へ訪問したレポートをお届けします。
ニンテンドーミュージアムは、京都府宇治市小倉町にある任天堂の資料館。 2024年10月2日に開業しました。
「ニンテンドーミュージアム」は、花札からNintendo Switchにいたるまで、任天堂が発売してきた数多くの製品を通して、任天堂がつくり続けてきた娯楽の歴史を知る・体験できる場所です。
公式サイトにあるとおり、任天堂が過去に販売した玩具やゲームが展示され、体験できるミュージアムです。
興味深いのは「体験」の位置づけでしょうか。単に過去のゲーム機・ソフトをプレイできるだけではなく、任天堂を象徴する「スーパーマリオ」をメインに、ゲーム世界を実際のプロダクトとして設置しているところです。
下の写真はエントランスを入ったすぐ近くにあるフォトスポットです。土管の中に入って自分がマリオの世界に入ったような写真を撮ることができます。土管は直径1mくらいでしょうか、大人が入っても余裕のあるサイズです。土管は低いものから高いものと3段階の差がつけられていて、子どもでも無理なくポーズを取ることができます。
ブロックは一辺400~450mmくらいだと思います。(もう少し小さいかもしれません…)成人の身長よりもすこし高い位置に設置されていて、「下から叩く=マリオと同じアクション」が真似できます。
素材は樹脂(FRPなど?)だと思われますが、レンガの表現やネジ穴、怪我をしないようにエッジにC面を付与しているなど、ゲームのキャラクターや世界観と整合したディティールのデザインが魅力的でした。
このレンガのテクスチャーは同施設内の他の場所でも展開されていて、任天堂らしさを体現するひとつのエレメントとして機能しています。
次にミュージアム内のピクトグラムのデザインをまとめてみました。全体の印象としては、丸みを帯びた造形や柔らかいカーブなど親しみやすい印象のデザインです。
ストロークのエッジにも丸みを持たせており、ブランドカラーのブルーグレーに白いストロークと文字で記載されています。表記は日英の2カ国語で、英語の書体は「Futura」をベースにしたようです。文字幅や造形は近いものの、特に大文字にみられる鋭角のエッジは調整されており、読みやすさが向上しています。
こちらは体験ができるエリアのピクトグラムデザインです。こうした施設内の体験説明用ピクトグラムは外側にあるデザインとは一点して、塗りつぶされた表現で統一されています。二人で楽しめるもの=二人の人が描かれたピクトグラムもありますが、性別を感じさせる表現は排除されており、そうした点ではニュートラルなデザインと言えます。
併設しているカフェでは、よりノスタルジックなデザインが強調されています。ドットで描いた文字やハンバーガーのサインなどが見られ、ゲームのカラーパレットを踏襲したような仕上げになっています。
そのほか、傘立てやロッカーなどにもゲームのハードやカセットのディティールを引用しています。設備に依存しているため、スケールはまちまちですが、特徴的なカラーやイラストを用いることで統一された印象を与えることに成功しています。
当日雨が降っていたわけではないですが、多くの訪問者が傘立てを見に行っていましたのが印象的でしたね。
床のタイルにはコインを描いたり壁に小さなマリオがいたりするなど、見逃してしまうような細かい工夫も楽しさを演出しています。カフェ以外のドット表現はモノトーンで統一しているのでしょうか、おおよそそういったルールに基づいてデザインを展開しているものと思われます。
オープンしたばかりで予約もなかなか困難なようですが、デザインという観点から見てもとても学びの多いミュージアムでした。実際のゲームで遊べることもいいですね。
海外の観光客の方が8割以上の印象で、国内外からの人気を目の当たりにしました。皆さんも機会があればぜひ訪れてみてください。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました!デザインマガジン🎈Balloonは毎月2回配信予定です。本メールマガジンの感想や質問などをSNSに投稿していただけると嬉しいです。次回配信もお楽しみに!
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