デザインマガジン🎈Balloon vol.28「2024年パリオリンピック競技場のデザインとカラーパレットの話」
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今回はパリオリンピック2024開催中のスペシャル版として、パリオリンピックのデザインに関するお話をお届けします。
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2024年パリオリンピック競技場のデザインとカラーパレットの話
日本時間の2024年8月12日、パリオリンピックが閉幕しました。「広く開かれた大会」をスローガンに掲げ、開会式は市内中心部のセーヌ川を舞台に史上初めて競技場外で実施。 ベルサイユ宮殿など都市のランドマークを活用した競技会場は、これまでの国際大会には無かった大きなインパクトを残しました。
中でも興味深かったのは、今回初めて採用されたブルーカラーのトラックを始めとする競技場のカラー設計についてです。競技場のカラーはレンガ色のトラックの印象が強いですが、彩度明度の高いブルーの色味は新鮮さがありましたね。(2016年に行われたリオオリンピックでもブルーのトラックが採用されていましたが、彩度も落ち着いており今回のパリほど明るくはありませんでした。)
調べてみると、近年はブルータータン(トラック)が増えているようで、日本の公認陸上競技場約470箇所のうち30箇所はブルータータンを使用しているとのこと。今後はこうしたブルーのトラックカラーが当たり前になるのかもしれません。
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陸上トラック以外にも、バドミントンやスケートボード、体操競技などほぼ全ての競技場で寒色系のカラーが用いられていました。色味だけでなく、上記と同じく彩度や明度も高く設計されており、アクセントカラーに淡いピンク色が用いられていた点も特徴的です。
スケートボードはレールのみピンクが配色されています。また体操競技では演技エリアの周囲に同じくピンク色が施されています。何かしら誘目させる場所にアクセントカラーを加えているように見えます。
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屋外のマラソンやスケートボードやBMXのパークでもかなり大胆に配色がなされています。ここまでコントラストを強調する必要性はあまり感じませんが、いずれも青から紫の寒色でまとまっているうえに、五輪のエンブレムが全て白抜きになっているため、統一感は損なわれていません。
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こうしてみると、基本的にビジュアルコンセプトのカラーパレットに基づいて競技場のカラー設計がなされているようです。下のカラーよりも、よりブルー系統の色味の面積が増え、ピンクやゴールドはほぼアクセントカラーとしてしか用いられていません。その結果、全体を通して青みが強調される大会になりました。
こうしたカラーパレットの展開ですが、いくつか例外的に赤や橙など暖色を用いたシーンもありました。
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下の写真は、大会中にIOCが毎日行うメディア対応のためのバックパネルデザインです。このカラーパレットは例外的に、赤から黄色、緑や青、紫など多様な色相が用いられています。全体的にやや落ち着いた印象で、他の競技場のカラーや場面と比べると権威性を感じさせる用法です。
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閉会式はパリ郊外サン=ドニのスタッド・ド・フランスで行われました。競技場内で実施されたこともあり、開会式ほどのインパクトはありませんでしたが、選手の皆さんのためのセレモニーだと考えると感慨深いものがありましたね。
次回のLA 2028夏季オリンピックでは、エンブレムの一部を可変的なデザインとして許容するなど、より多様性を重視する大会になりそうです。引き継ぎ式では著名なアーティストのパフォーマンスだけではなく、クリエイティブをもっと見たかったという思いは拭えませんが、次回のオリンピックのデザインにも期待したいと思います。
おわりに
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