デザインマガジン🎈Balloon vol.19「ほしいものが、ほしいわ。」と「無印良品のブランディング」

vol.19「ほしいものが、ほしいわ。」と「無印良品のブランディング」
Balloon Inc. 2024.04.01
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デザインマガジンでは、上の句として「デザイン“以外”の話」、下の句として「デザインの話」をお届けします。では早速、「デザイン“以外”の話」から。

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上の句:ほしいものが、ほしいわ。

私が生まれる前のバブル絶頂期の1988年に糸井重里氏が西武百貨店のポスター用に考えたキャッチコピー、「ほしいものが、ほしいわ。」。宮沢りえが登場しているポスターが話題となったそう。

ところでこれって、「すでに欲しいものがわかっている人」と「本当に欲しいものがわからない人」どちらが発言しているのでしょうか?バブル絶頂期であることを踏まえると、自分の欲しいものがわかっていてそれが西武百貨店に行けば手に入れられるぞという意味合いでしょうか。でも、大量生産大量消費の時代であればものが溢れていて本当に欲しいものがわからなくなっているということもあり得るのでは?うーん、悩ましい。こうやって悩んでばかりいるとコピーライターがニヤニヤしそうなので考えるのはここまでにしておきます。

余談ですが、バブルに思いを馳せる手がかりとして『ポスト消費社会のゆくえ』を最近読んでいます。西武百貨店のクリエイティブにおける糸井重里氏の登用と彼が致命的に失敗したアイデア提案について書かれていて面白かったです。

セゾングループの歩みを振り返ることは日本の戦後消費社会の歴史を考えること―消費社会論の研究者でもある上野千鶴子氏が元グループ総帥・辻井喬(堤清二)氏へのインタビューを通して、ポスト消費社会をどのように再構築していくか、その手がかりを探る。
ポスト消費社会のゆくえ

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下の句:無印良品のブランディング

セゾングループといえば、堤清二氏とともに無印良品を立ち上げたデザイナー、田中一光氏の名前は欠かせません。

1980年に始まった無印良品は「無印」という立場に「良品」という価値観をつけて誕生した概念です。その発案者のひとりである田中一光氏は、20年余に渡りアートディレクターとして無印良品の思想を表現した存在でした。

氏の作品集『伝統と今日のデザイン』に掲載された無印良品のロゴタイプには、このようなデザインがみられます。和文「無印良品」と欧文「MUJI」のブランド名が同じ幅で組まれており、中央には「NO BRAND GOODS」と書かれた黒い矩形が配置されているものです。

この「NO BRAND GOODS」という表記は、(近年はほとんど見ることは無いですが)無印良品の持つ消費社会へのアンチテーゼという姿勢を直接的に表現するもので非常に興味深いですね。

各部の比率をみるためにグリッドを加えたのが下の図です。上から大きく三つのエリアに分かれており、「無印良品」NO BRAND GOODS」、「MUJI」となります。

このデザインにおいて最も調整に気を遣うのは、各エリア毎の余白「行間」では無いでしょうか。

行間を字間よりも狭くすると、読むときに不自然さを感じそうですし、あまりに距離をとると一体感が損なわれてしまいます。

こうしてみてみると、「和文の文字間」と「欧文の文字間」のスペースをベースに行間の寸法が決められているようです。和文と欧文の文字サイズが異なるため、スペースの取り方にも差があるのが面白いですね。

ちなみに使用されている書体は、和文はモリサワ「A-OTF ゴシックMB101 Pro DB」、欧文はライノタイプ社の「Helvetica® Inserat Roman」のようです。

田中一光氏は、その約50年に渡る活動の中で5000点を超える作品を生み出しました。上はシンボルマークデザインの一部ですが、円、三角、四角形といった基本的な形状を用いつつ、それらを変形させたり回転させたりして繰り返すことにより、独自性のあるビジュアルを創り出しています。

この記事を書いていて、随分と前に「無印良品は生活を豊かにしたか?」というディベートイベントを(自主的に)開催した事を思い出しました。これはその時につくった「MUJI CHRONICLE」という無印良品の商品や歴史と一枚にまとめたポスターです。

参考文献『伝統と今日のデザイン』田中一光 1999

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おわりに

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